【レポート】みんなでつくる観察園講座（１２月　田んぼ）

　はじめに、桝元（ますもと）さんから“自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）の成（な）り立（た）ちとその趣旨（しゅし）について“ 話（はな）されました。

　SDGsのデコレーションモデルからも分（わ）かるように、基盤（きばん）になっているのは環境（かんきょう）（陸（りく）・海（うみ）・水（みず）・大気（たいき）・生物（せいぶつ）など）すなわち自然（しぜん）資本（しほん）です。
　自然（しぜん）資本（しほん）は全（すべ）ての目標（もくひょう）達成（たっせい）に必要（ひつよう）なものです。

　次（つぎ）に、忍（おし）さんから本年度（ほんねんど）の米（べい）講座（こうざ）のお話（はなし）がありました。
　自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）の田（た）んぼはＢ～Ｆまでの５枚（まい）です。Ｂ田（でん）には、古代（こだい）米（まい）（紫黒米（しこくまい）・赤米（あかまい））を植（う）えていました。11月（がつ）1日（にち）の稲刈（いねか）り前後（ぜんご）は水（みず）を抜（ぬ）いていましたが、後（あと）350日（にち）くらいは湛水（たんすい）しています。 いわゆる、冬水（とうすい）田（た）んぼです。

　６月（がつ）に田植（たう）えをしました。Ｂ田（でん）に古代（こだい）米（まい）、Ｃ・Ｄ田（でん）にウルチ米（まい）、Ｅ・Ｆ田（でん）にもち米（ごめ）を植（う）えました。Ｆ田（でん）は水（みず）を張（は）ると、カブトエビがたちまち湧（わ）いて出（で）ました。以前（いぜん）は、北海道（ほっかいどう）ではお米（こめ）は出来（でき）ないと言（い）われていました。ところが、いまではブランド米（まい）を産出（うみだ）しています。でも、品種（ひんしゅ）改良（かいりょう）が気候（きこう）変動（へんどう）に追（お）いつけなかったら栽培（さいばい）適地（てきち）がなくなり、絶滅（ぜつめつ）の恐（おそ）れもあるでしょう。野生種（やせいしゅ）の遺伝的（いでんてき）多様性（たようせい）を維持（いじ）すれば、多様（たよう）な環境（かんきょう）で生（い）き残（のこ）れるのではないでしょうか。

　水田（すいでん）とその周辺（しゅうへん）の維持（いじ）管理（かんり）の仕方（しかた）について、次（つぎ）のように考（かんが）えています。
　水田（すいでん）Ｂは、常時（じょうじ）冠水（かんすい）の田（た）んぼにして、水生（すいせい）生物（せいぶつ）の生活（せいかつ）の場（ば）を確保（かくほ）するように維持（いじ）管理（かんり）をします。水田（すいでん）C～Fは、休耕（きゅうこう）中（ちゅう）に土（つち）が富栄養化（ふえいようか）するように種（たね）をまきます。
　そして、水田（すいでん）内（ない）の生（い）き物（もの）の生活（せいかつ）環境（かんきょう）の保全（ほぜん）を図（はか）っていきます。

　常時（じょうじ）冠水（かんすい）の田（た）んぼには生（い）き物（もの）の種類（しゅるい）が多（おお）いことが分（わ）かっています。

　講義（こうぎ）のあと、自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）の田（た）んぼに出（で）かけました。

　今年（ことし）は、トビイロウンカが、6月（がつ）頃（ごろ）に梅雨（つゆ）の雲（くも）に乗（の）って1000～2000㎞離（はな）れた南（みなみ）の国（くに）からたくさんやって来（き）ました。そのため、全国的（ぜんこくてき）に被害（ひがい）を受（う）けた稲田（いなだ）が多（おお）くありました。
　しかし、ここ鶴見緑地（つるみりょくち）では、ウンカの発生（はっせい）が見（み）られていません。おそらく、ウンカを捕食（ほしょく）する生（い）き物（もの）が多（おお）くいたため、うまく釣合（つりあい）がとれていたのだと思（おも）われます。

　トビイロウンカは、雨（あめ）と一緒（いっしょ）に田（た）んぼの上（うえ）にポトンポトンと落（お）ちて、稲苗（いなえ）にしがみつき卵（たまご）を産（う）みます。
　そして、稲（いね）と共（とも）に成長（せいちょう）していき、第（だい）2代（だい）、第（だい）3代（だい）と進（すす）みます。

　第（だい）3代目（だいめ）の成虫（せいちゅう）は翅（はね）が長（なが）く、写真（しゃしん）の成虫（せいちゅう）はまさに飛翔（ひしょう）期（き）の成虫（せいちゅう）です。長（なが）い翅（はね）の成虫（せいちゅう）は何処（どこ）かまた遠（とお）くに飛散（ひさん）し、行（い）った先（さき）で子孫（しそん）を増（ふ）やしていきます。