【レポート】みんなでつくる観察園講座（１０月　畑・蓮田）

　はじめに、苗（なえ）田（でん）さんから蓮田（はすだ）の四季（しき）と維持（いじ）管理（かんり）について、事前（じぜん）に収穫（しゅうかく）したレンコンを使（つか）って説明（せつめい）がありました。
　2013年度（ねんど）までは、全面（ぜんめん）を耕起（こうき）した後（あと）に、種（たね）レンコンを農事（のうじ）小屋（こや）で保存（ほぞん）し、春（はる）になって埋（う）め戻（もど）していました。2014年度（ねんど）以降（いこう）は、耕起（こうき）せずに、レンコンを埋（う）めたままにして、春先（はるさき）の発芽（はつが）を待（ま）っていました。

　4月（がつ）になると、水中（すいちゅう）から新芽（しんめ）が顔（かお）をのぞかせます。初（はじ）めの葉（は）は、睡蓮（すいれん）のような浮葉（うきは）です。徐々（じょじょ）に茎（くき）が伸（の）びて立（た）ち葉（は）になっていきます。
　5月（がつ）にハスの茎（くき）にアブラムシがびっしりとつきました。クワイクビレアブラムシのようです。どうやら蓮田（はすだ）の隣（となり）のため池（いけ）で生（う）まれているようです。

　6月（がつ）中頃（なかごろ）から花（はな）が咲（さ）きだします。自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）の蓮田（はすだ）には、白花（しらはな）と桃（もも）花（はな）があります。見頃（みごろ）は7月（がつ）です。

　収穫（しゅうかく）は9月（がつ）以降（いこう）できますが、寒（さむ）くなってからの方（ほう）がもっちりとした食感（しょっかん）になるそうです。
　自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）では、毎年（まいとし）冬（ふゆ）にレンコン掘（ほ）り講座（こうざ）を実施（じっし）しています。

　2019年（ねん）8月（がつ）には、特定（とくてい）外来（がいらい）生物（せいぶつ）のアライグマの足跡（あしあと）が発見（はっけん）されました。

　続（つづ）いて、桝元（ますもと）さんから今年（ことし）のハスの状況（じょうきょう）について説明（せつめい）がありました。 　今年（ことし）の蓮田（はすだ）は例年（れいねん）とは違（ちが）い、枯（か）れた葉（は）が目立（めだ）っています。

　ハスの葉（は）は、24時間（じかん）以上（いじょう）水没（すいぼつ）すると、撥水性（はっすいせい）がなくなり枯死（こし）する葉（は）が増（ふ）えます。そこで、連続（れんぞく）降水（こうすい）時間（じかん）を調（しら）べたところ、7月（がつ）13日（にち）から14日（にち）にかけて32時間（じかん）雨（あめ）が降（ふ）り続（つづ）いていました。このことが、葉（は）が枯（か）れた原因（げんいん）となったようです。

　健全（けんぜん）な葉（は）は表面（ひょうめん）に産毛（うぶげ）状（じょう）の突起（とっき）がありますが、枯（か）れ葉（は）はつるつるになっています。また、中央（ちゅうおう）の通気口（つうきこう）の役割（やくわり）を持（も）つ部分（ぶぶん）は健全（けんぜん）な葉（は）だと通気（つうき）道（みち）内面（ないめん）にとげが見（み）られますが、枯（か）れ葉（は）の内面（ないめん）は滑（なめ）らかになっていました。

　次（つぎ）に、秋田（あきた）さんから蓮田（はすだ）と生（い）き物（もの）についての話（はなし）がありました。
　蓮田（はすだ）は、水田（すいでん）と同様（どうよう）に止水（しすい）環境（かんきょう）を好（この）む生（い）き物（もの）の生息（せいそく）場所（ばしょ）になります。大（おお）きな葉（は）（抽（ひき）水葉（すいよう））が水面（すいめん）を隠（かく）しているので、トンボなどにとっては産卵（さんらん）行動（こうどう）が起（お）こしにくくなります。反面（はんめん）、カエルなどには鳥（とり）の目（め）からの隠（かく）れ場（ば）となります。

　ハスの葉（は）が茂（しげ）っている時期（じき）とカエルの活動（かつどう）時期（じき）が一致（いっち）しています。

　その後（あと）、自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）の蓮田（はすだ）を観察（かんさつ）に出（で）かけました。

シオカラトンボ
　ハスの葉（は）が枯（か）れて水面（すいめん）の反射光（はんしゃこう）を感知（かんち）できるようになると、トンボの産卵（さんらん）が始（はじ）まります。トンボは幼虫（ようちゅう）越冬（えっとう）（ヤゴのまま冬（ふゆ）を越（こ）す）し、5月（がつ）上旬（じょうじゅん）に羽化（うか）していきます。

ハネナガイナゴ
　イナゴは、後肢（あとあし）（脛（すね）節（ぶし））が広（ひろ）がっているので、水（みず）に落（お）ちても泳（およ）げます。自然（しぜん）体験（たいけん）観察（かんさつ）園（えん）には、コバネイナゴとハネナガイナゴがいますが、バッタは湿（しめ）ったところは嫌（きら）いなようです。

ウリハムシ
　ウリ科（か）の植物（しょくぶつ）の葉（は）っぱを食（た）べます。瓜（うり）類（るい）の葉（は）っぱは、虫（むし）にかじられると食（た）べにくくする物質（ぶっしつ）を葉脈（ようみゃく）から出（だ）します。それが出（で）てこないように、あらかじめ葉（は）に丸（まる）く切（き）り込（こ）みを入（い）れて、切込（きりこ）みの内側（うちがわ）だけを食（た）べるので、葉（は）に丸（まる）い穴（あな）があきます。