イベントレポート
エリア:北区, 都島区, 福島区, 此花区, 中央区, 西区, 港区, 大正区, 天王寺区, 浪速区, 西淀川区, 淀川区, 東淀川区, 東成区, 生野区, 旭区, 城東区, 鶴見区, 阿倍野区, 住之江区, 住吉区, 東住吉区, 平野区, 西成区
【レポート】おおさか市民環境大学2022 第2回
1月21日(土)にZoomでのオンラインで、「おおさか市民環境大学2022 生物多様性とゼロカーボン社会~子どもたちに残したい未来~」を開催し、32名の方にご参加いただきました。
4連続講座の第2回である今回の講師は、淀川環境委員会委員である河合典彦氏です。
講演タイトルは「フィールドミュージアム淀川を活用した環境学習」です。大阪市内を貫流する一級河川の淀川で行われる自然再生や環境学習の取組みなど、実例を交えてご紹介頂きます。河合講師の淀川との運命の出逢い、経緯や生い立ち、更には教員をご引退されてからも河合講師が行われている「実物から五感を通して感じることの大切さを伝え続けること」などを事務局からご紹介したあと、ご講演が始まりました。
お話される内容は左のように大きく分けて5つのコンテンツとなっております。
「淀川や大川〔旧淀川〕にはどのような自然環境があるか(大阪市内を中心に)」
淀川の概要をまずはお話しされました。
その中で大阪府の生物多様性ホットスポットのご紹介をされ、大阪市にとって淀川は多様な環境が広がっている重要な地域であることを強調されました。
淀川のヨシは1月の終わりから2月の初めにかけて刈り取られ、梅田のビルとミスマッチしたような風景が見られるとご紹介され、刈り取って持ち出されることで環境浄化にも一役買っているとご説明されました。
次に、「そこではどのような自然体験が行われているか」をご紹介されました。
以下に、その一部を掲載いたします。
ご覧のように、淀川では多くの場所で自然体験が行われているのが分かります。
その次は「自然体験の機会」ということで、生涯学習の話をされました。
生涯学習の中に含まれる、社会教育には、学校教育、家庭教育というものがあり、社会教育で行われる自然体験の目標として、最終的には自己学習に繋がるそのきっかけづくりであると捉えたいとお話されました。また、淀川の環境や生きもののことについて掲載されていて、河合講師が長年作成に関わってきた大阪市環境局発行の副読本「おおさか環境科」のご紹介をされました。
そしてその次に「淀川や大川が抱える自然環境上の課題」の話をされました。
洪水対策で行われた、河川の拡張により、河川敷内の氾濫原が減少してしまい、そこに生息する生きものが減ってしまった事などをご説明されました。
また、それまで氾濫原だった河川敷には公園が整備されたが、水域と陸域の境界には高水敷・低水護岸が施され、人と水辺が遠くなってしまったという問題点を指摘されました。
ただ、公園と水辺の連続性を図ろうということで見直され、低水護岸の撤去もはじまっているとご紹介されました。
その次は「自然体験を進めるために」ということで、以下のように大きく3つのことを挙げられ、地域と結びつけるということを教員がすることが大事とお話しされました。
そして、最後のコンテンツ「自然体験はなぜ必要か」についてです。
文部科学省の外郭団体が、数年に一度調査している内容をご紹介頂き、自然体験と自己肯定感、その他自立性や協調性、積極性や探求力に至るまで、全て相関関係にあるとの解説があり、それは毎回の調査で同じような結果が出ていると話されました。
まとめとして、実体験にふれることの大切さを以下の左のスライドのように述べられ、生物多様性を損なうもっとも大きな原因は、「無関心」であるとお話されました。その後のスライドでは干潟で遊ぶ子どもたちを見つけると、絶滅危惧種を発見した時の喜びがあるとのことでした。こういった光景を後世でも見られるようにしたいものです。
最後の質問では、「淀川に自然が多くあるのにおどろきました。参加された子供たちは、その後に保全活動などに参加し、広がりを見せているのでしょうか。」との問いに対し、「私が学校現場のクラブでいつも淀川に行っていた子が、その後大学でもその方面に進学し、保全活動に関わっている例もある。」と答えられました。「国、府、市など行政は積極的に保全活動に取り組んでいるのでしょうか。具体的な行政の取り組みがあればご教示お願いいたします。」との問いには、「河川法に環境の保全が位置付けられ、国も力を入れだした。しかし近年の未曾有の災害の対策のため、治水に軸足を置いている印象がある。しかし限られた予算の中でよくやってくれていると思う。」と答えられました。
アンケート結果では、「治水も大切ですが、利水も、未来ある子供達のために、より大切だと思いました。自分達が子どもの頃のように、水辺で遊べる、学べる環境を整えることが大切だと思いました。」といった感想や、「淀川の自然にもっと関心を持ち、孫たちがもう少し大きくなったらワンドに連れて行きたいです。」といった、次世代への影響も伺わせる回答、「環境の教育の現場をもっと見てみたいと感じたので、活動をしてみたいです。」や、「大和川の近所で長年過ごしてきたので、今一度、水際にも興味をもって観察に行こうと思った。」といった、この講座がきっかけで川に足を運ぶきっかけになったと思われる回答も多数寄せられました。
次回は2月12日(日)に開催致します。
最後のご案内で事務局より、次回は2月12日を土曜日とアナウンスしていましたが、日曜日の間違いでございます。お詫びして訂正いたします。